KT88 真空管アンプ CAV T-88a を購入してみました。
B&Wのスピーカー706 S2をCAV T-88aで鳴らしてみたところ躍動感たっぷりで厚く粘りっこく、空間を音圧で満たすような、それでいて解像度も高く、ボーカルは埋もれず、鳥肌物の気持ちいいサウンドを聴かせてくれています。
あっさり系の音だったB&W 706 S2に大幅な「厚みと躍動感」を加えてくれたCAVのKT88真空管アンプ「T-88a」の開封画像と音質レビューをご紹介します。
※このページの情報は執筆時かつ、一般人の筆者の主観的レビューになります。
Contents
真空管アンプ CAV T-88a の主な仕様
- メーカー:CAV
- メーカーの国:中国
- 発売時期:2014年
- 定価or初期価格帯:18万円+税
KT88プッシュプル真空管アンプの特徴
KT88という真空管は音に「厚み・熱さ・躍動感」等があり、さらにはKT88を4本搭載したプッシュプルでは音にパワーも加わるので、ロックなど熱さが求められるジャンルに向いているようです。
CAV T-88a の主な特徴
- ロック向きといわれるKT88を4本使用(プッシュプル)でハイパワーの真空管アンプ
- 真空管アンプで重要な電源トランスが特大で本体も重量級の27kg
- BEAM(多極管動作)⇔TRI(三極管動作)の2種類の駆動パターンをワンボタンで選択可能
- 中国のメーカーのためコスパ抜群でありながら1年保証付き
CAV T-88a 開封画像
CAV「T-88a」は梱包時の総重量が約30kgというヘビー級だけに、ダンボールには非常にしっかりとした持ち手が付いています。
外箱を開封すると密度の高いクッション素材でガッチリと固定されており、内側には取説が入っています。
外側もしっかりとした箱でしたが、内側のアンプを固定する素材も単なる発泡スチロールではなく非常にしっかりとしたクッション素材がアンプの形状に合わせて隙間なく配置&固定されています。
しっかりと固定された本体はビニール袋で包まれています。
ビニール袋を開けると、本体がお目見えです。特大のトランスが半分近くを占めているのが見て取れます。
真空管は最初から装着されており購入者は調整等をする必要もないので私のような真空管初心者でも安心でした。
真ん中のトランスにはメーカー名「CVA」と入っています。
底にもアンプ本体が動かないように固定用クッション素材が精密に配置されています。
隙間には電源ケーブル(左)が入っています。※右側の物は私が同時に注文した物なので本来は入っていません。
箱から出してアンプ全体がお目見えです! 美しい真空管が左右対称に配置されています。
「ビーム(4極管)⇔トライ(3極管)」(BEAM(多極管動作)⇔TRI(三極管動作))の切り替えに対する注意書きが貼ってあります。
「T-88a」本体のサイズは。高さ:約22cm、横幅:約40cm、奥行き:約38cmです。
背面の端子は左から「入力4系統・スピーカー出力1系統・電源ケーブルIN」です。スピーカー出力の赤の方は6Ωと8Ωをスピーカーに合わせて選択します。
この角度で見ると電源トランスの高さがハンパないですね。
入力端子のアップ画像です。左がレコード用のPHONO INで、右の3つが通常のRCAプラグの入力端子になります。
画像↓の真空管は右からKT-88・6SN7・12AX7Bです。反対側にも左右対称に配置されています。
電源オン時には真空管が非常に熱くなるため、檻のようなカバーが装着されており、そのカバーを外すにはネジを数か所外す必要があります。
このカバーの質感は鉄感むき出しではなく上質な素材でコーティングされており滑らかで、コーティングのおかげで熱くなりにくいので個人的には外さずに聴いています。
照明を消して、アンプをオンにするとオレンジ色に美しく光ります。
以上で「CAV T-88a」の開封画像は完了です。
ここからはT-88aの音質レビューになります。
真空管アンプCAV「T-88a」第一印象の音質レビュー
私事ですが購入(注文)したのは「B&W 706 S2」が先ですが、到着したのは「CAV T-88a」が先だったので、以下の第一印象は上海問屋のスピーカーに接続した際の印象です。
- 音出し初期の解像度は1万円以下で買ったSMSL製デジアンSA-98E以下
- 定格出力45Wでもパワー不足は感じない
- 全体的に音のエッジ(角)が丸い
- 高域はさらに丸い印象
- 低域に締まりがない
- 真空管が超美しい
- ワンプッシュでTRI(三極管動作)とBEAM(多極管動作)を切り替えることができ、TRIからBEAMにすると音量と音圧が上がったような少しワイルドな鳴り方になる(切り替えは電源オフ時のみです)
以上の印象は新品開封直後でエージングは全くの0状態で、さらに1本1万円の上海問屋のスピーカーでの印象ですが、同じく新品購入の706 S2に接続し、T-88aと706 S2のエージングが少し進んだ20時間過ぎ辺りから明らかな変化を感じるようになりました。
「T-88a+706 S2」20時間過ぎから変化
KT88真空管アンプ「CAV T-88a」を10時間ほど鳴らしたあとに「B&W 706 S2」とセットで20時間ほど鳴らしたあたりから音の鮮度がかなり上がってきました。
706 S2の説明書に書いてある「最低限15時間のエージング」と、T-88aのエージングが進んだのをハッキリと体感できました。(変化に与えた影響力としては706 S2のエージングの比重が大きいかと思います)
真空管アンプCAV「T-88a」50時間以上鳴らした後の音質レビュー
B&W「706 S2」は、音が無機質的かつ、音がバラバラでまとまりがない聴こえ方をする印象があるスピーカーです。(※自分の環境での主観的感想です)
しかし、KT88プッシュプルの真空管アンプ T-88aで鳴らす706 S2は、(言葉で表現するのは難しいですが)音と音の間を粘り気ある有機的なエネルギーが繋いでいるような音に感じられます。
706 S2の音がスピーカーの前へ出てこず、スピーカーの後方に広がり、KT88の真空管によるエネルギーがその広がった音と音の間に詰まることによって、部屋の空間全体が熱く粘りっこい濃厚なエネルギーで満たされるような感覚を覚えます。
「T-88a+706 S2」で聴くロックは原音とはかけ離れているかもしれませんが、ギターサウンドなどに病みつきになるような気持ち良さがあります。
T-88aで鳴らした706 S2の高音は大らかな伸び方
「T-88a」で鳴らす「706 S2」の高音はデジアンで鳴らした時よりも柔らかい印象ですが、それでも気持ちよく伸びます。
ただ、突き抜けるように伸びるというよりも、ゆとりがある大らかな伸び方といった感じです。
B&W特有の高音が耳につく場合や、音がバラバラで一体感が感じられない点が気になる場合は真空管アンプによって幾分和らぐかもしれません。
個人的には「T-88a+706 S2」の音は病みつきになる超気持ちいい音に感じます。
(※追記:上記の印象はスピーカースタンドの不安定さや、ケーブル類、部屋の反響音等の悪影響も大きかったと思います。DENONのPMA-SX1+805Dを数カ月メインで聴いたあとにT-88a+805Dでじっくりと聴くようになったところ、PMA-SX1と同等と感じる瞬間もあるくらい繊細な音も鳴っています。倍音の美しさも感じられますし、T-88aはあらためて良いアンプだと感じています)
次は、B&W 805D の開封画像やレビュー記事になります。
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